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 どうしてもバレンタイン企画を思い付かなかったので、ちょこっとした小話をこちらに載せます。
 去年一昨年のテーマを踏襲すると、私の頭ではどうしても思い付かなかったのです。
 しかし、いたってありがちなベタな話なら書けたので、こちらの方に載せてみようかなと。
 もしよろしければ、続きはこちらをクリックしてどうぞ。何日かにわけて連載します。

 St. Valentine's Day ('09)  1

 まったくもって油断がならない。
 潮江文次郎は日めくりカレンダーを剥がしながら毒づいだ。
 毎年毎年、バレンタインデーに仙蔵からチョコをもらい、ヒドイ目に遭う。
 2月14日へのカウントダウンがはじまると、文次郎は心に誓った。
 今年こそ、あの仙蔵からのホモチョコ(笑)はもらわないと。女性に人気絶大の仙蔵サマはある特定の級友にイヤガラセをするのが何よりもお好きらしい。
 しかし、今年の2月14日はそっけないほどあっけなく過ぎた。仙蔵が脅迫めいたセリフで手作りチョコ片手に迫ってくることもなく、毒入りコーヒーを飲まされることもなく、一日がすらすらと過ぎていく。
 
 今年はとうとう諦めたか。
 
 文次郎は苦笑しつつも、安堵感がじわじわと心を浸食してくるのを拒めなかった。
 あー、これで今年はピーチネクターをがぶ飲みしなくても済むし、水をがぶ飲みしなくても済む。
 いやいや、と文次郎は首を横に振った。14日が終わるまで数時間ある。まだまだ油断がならない。気を引き締めなくては。文次郎は気合いを入れようと両頬を手で叩いた。
 コンコン。
 軽くノックの音がする。文次郎はたちまち固くなった。ドアの向こうには仙蔵がいるに違いない。そして、安全装置を外したパイナップル片手に自分を脅迫するんだ。
 冗談じゃない。
 文次郎はぶんぶんと首を振ると、ドアに向かって怒鳴りつけた。
「何が何でも俺はお前のチョコを受け取らねえぞ!入ってくるなら入ってきやがれ!」
 ドアの向こうの空気が凍り付いた。

(続く)
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