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 昨日の続きです。
 よろしければどうぞ…。

St. Valentine's Day ('09)  2

「文次郎…」
 文次郎自身にとっては思いがけない声が響く。
「せっかく、勇気を振り絞って会いに来ている子がいるのに、そんな言い草はないだろう」
 思いがけないのは声の主ばかりではない。内容もまったく想定外だ。俺にチョコを渡す?勇気を振り絞って会いに来る?文次郎は狼狽の頭もさめやらぬまま、扉を乱暴に開けた。
 
(…)
 
 伊作の奴め。何が『勇気を振り絞って会いに来ている子がいる』だ。俺の前に立っているのは、どう見ても小学生だ。悪いことに、伊作はこの子を見て呆気にとられた俺の表情を読んだらしい。真っ向から自分をにらみつけてきた。
「…女人禁制の男子学生寮に、こんな小さな娘が来るなんて、どれほどの勇気がいるのかお前はわからないのか?」
 伊作の怒気に、文次郎は仕方なく相手の女子小学生に目を向けた。
 くりっとした瞳がおどおどと文次郎を見る。意外とまつげが長い。
 さあ、と伊作に促されて彼女は文次郎に贈り物を差し出した。
「一生懸命、作りました!潮江先輩、受け取ってください!」
 体育会系を彷彿とさせる挨拶に、文次郎はぐらりと傾いた。
「ありがとう。喜んで受け取るぜ」
「ありがとうございます!」
 ちいさな手が、文次郎に向かって差し出される。文次郎は『はじめて』女子からチョコをもらったのだ。
 
 伊作が何やかにやと彼女に囁いていたが、文次郎は聞いてなかった。
 何しろ、女子から手作りチョコをもらったのだから。この事実だけでも文次郎にとっては大きな収穫である。
 仙蔵に、堂々と申し開き(笑)が出来るぜ!
 俺はついに女子から手作りチョコをもらったのだ!
 お前のホモチョコなどいらんわ!
 ふはははは!
 文次郎は今や有頂天の位にあった。
 
 (続く)
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